鳴子には沢山の温泉宿がありますが、その中でも昔ながらの湯治文化を今でも守り続けている宿のひとつです。湯治宿とはどういう宿なのかを全く知らない人にこそお薦めしたい。３連泊以上するのを基本として宿泊受付。１泊や２泊のお客は、宿の都合次第で受け入れていただけたり、ダメだったり致します。…… more 大正時代創業、鳴子温泉の中でも老舗旅館ではないでしょうか。こういう歴史ある宿に訪れてみると、物事の価値観というのをもう一度見つめ直すきっかけになると思います。日常の忙しさにまぎれて、忘れ去っていたものがここには残っています。旧きを知ることにより、新しいものの価値観をもう一度見直すことも出来ます。年配の方には懐かしく、若い人には新鮮に映るそんな空間がここにはあるのです。 ［駐車場はかなり狭い］ 日帰り入浴 料金：５００円　又は　湯巡りシール２枚 　　　　　広間休憩付　１，０００円　１０時～１５時 時間：１０時～１６時 平成２８年２月　 平成２９年１月　訪問 館内に入り声を掛けると、どこからか宿の人が駆けつけてくれます。だいたいいつも、２階で作業しているらしい所に訪れてしまいますね。階段を降りてきて対応してくれるのでした。 お風呂は１階の廊下をずっと進んだところにあります。この廊下、古いだろうけどしっかり磨かれておりなんかとても心地よいのです。懐かしい木のぬくもり、昭和の時代によく見ていた建物の風景がここにはあるのでした。 ［湯治宿の雰囲気がすてき］ ［風呂入口］ 脱衣所に行くと、細長い空間の一番奥に脱衣棚が設置されています。１マスがランドセルロッカー程度大きさしかありません。真冬にコートも着ていくと、１マスでは足りずに２つぐらい使わせていただきます。まあ、宿泊で浴衣だけだったらこのサイズで十分なのでしょう。 ［脱衣所］ 反対側には洗面台が設置。この脱衣所、換気扇がありません。このため、どうしても湿度がこもりやすい。真冬でも少しだけ窓を開けておくことで多少解決出来るのですが、それはそれで寒くて。湯上がりの時は体が温まっているので問題ないのですが、入る前の時はちょいと辛いです。まあ、それも昔はこんなもんだったのだろうと思いながら利用するとあまり気にもなりません。 ［脱衣所内の洗面台］ 温泉の効能など書かれています。こういうのをたまにはじっくり読んでみるのも温泉宿に行った時はお薦め。 ［効能などの掲示］ お風呂は男女別内湯×１。 けして広いお風呂ではありません。ゆったり入るには６人ぐらいがよいところでしょうか。８人ぐらいまでは大丈夫かな。でも、ここでそれほど多くの人と同時に入浴したこと無い。いつもゆったりとお湯を楽しませていただいております。 ［湯治宿らしい簡素な湯船］ 浴室に入った瞬間、程よく感じる硫化水素の香り。少し焦げたというか撚たというか、なんかそんな感じの香りがします。きれいに片付けられているケロリン桶をひとつとり、湯船のお湯でかけ湯。少し熱めかなと思いながらも程よい心地よさのある熱さなのです。温度計で計ってみる事がありますが、だいたい４３℃ぐらいですね。家庭の水道水を沸かしたものだと４１℃ぐらいの湯に使っているのと体感的には同じぐらいだと思って良いです。 ゆっくりと足から浸かります。温度に体を慣らしながら体を沈めると、お尻が湯船の底についた時にはため息とも言葉とも言えないようなものが口から自然と出てしまいます。これが極上の心地よさなんだなといつも思いますね。 ［浴室　反対より　シャワーは無い］ お湯は緑がかった濁り湯。この色になるのは全国でも珍しいと思います。個人的経験でも、他に数か所しか記憶にありません。ただし、日によって乳白色だったり少し黒い感じだったりと様々な条件で色は変わるようです。このお湯は肌につるつるスベスベという感じはなく、どちらかと言うと、体の皮脂が少し落ちる感じ。クレンジング効果というか、毛穴の汚れがとれる気がします。また、泉質の関係で擦り傷や切り傷があるとすごく染みますね。この染みるぐらいの温泉成分が手荒れに効果があり、マネージャーの手湿疹治療や予防にも最適な泉質でもあります。そういう理由が強くて、手荒れがひどい冬場になるとここを訪れる事が多いです。 ［湯口　直ぐ脇に換気口もある］ 様々な温泉成分の中には、析出物が湯船や浴室床に堆積する成分もあるようです。湯船の手前側は皆さんが多く出入りするので滑らかに出来ていますが、湯口がある側は少し鍾乳石みたいにチクチク状態になっています。違いは実際行った時触ってみると良くわかりますよ。 ［緑色の湯　湯船や浴室床の温泉成分もすごい］ この湯、お湯の面すれすれまでどっぷり浸かり、波立てないようにし大きく深呼吸を繰り返すとほんとに鼻や喉が楽。気管支喘息とアレルギー性鼻炎のごまちゃんにとっては、これ以上ないぐらい心地よいものがあります。浴室にいて少し経つと、喘息のゼーゼー感が無くなる時もありますから。これ、人によって効果の程度は違うと思いますが、喘息持ちの人は試してみる価値あるかもしれません。 硫化水素の香りがある程度する湯の場合、事故防止のため換気口が設けられています。この浴室も湯船の縁と同じ高さにも換気口が設けられており、また、窓も完全に締め切ること無いように対応しています。他の温泉地では硫化水素による死亡事故も起きていますから。温泉に慣れている人こそ、この程度なら未だ大丈夫と思って多少濃度が濃いなと思ってもそのまま換気をきちんとせずに入浴しようとする人いますからね。 ［浴室の窓　一部このように開き常に換気状態となっている］ 傾向的に日帰り客は結構長めに浴室を利用している場合多いです。湯治で来ている人は、一日何度も入れるからか、一回の入浴は１５分程度とか短い人がほとんどですね。長く浴室にいますが、その３分の１も湯船に浸かっていません。たぶん４分の１ぐらいの時間しか湯には浸かっておらず、ほとんどが湯船の縁で休んでいる状態。出たり入ったり、自分のペースで無理せずお湯を楽しんでいるとあっという間に１時間ぐらい経ってしまいます。 ここのお湯は何度入りに来ても感じる大きな特徴として、温泉成分が体の中に入ってくる感じがする事。温泉成分によっては、体の老廃物を出すような感じがするお湯もよくありますが、ここはとにかく体にお湯の成分を取り込んでいくイメージなのです。 一つ気をつけなければならないのは、肌の弱い人はあまり長く入浴しないこと。たまに、お湯に慣れている人でも肌がヒリヒリするなという事があるようです。事実、過去にはそのような経験をしております。体調も大きく影響していると思いますが。 お風呂から上がる時はしっかり汗を拭き、脱衣所でできるだけ汗拭きしなくて済むように工夫します。脱衣所の構造上、風通しあまり良くないので。パンツだけはいて水分補給をしベンチで体が落ち着くまで少し休憩。あまり人がいない時は１０分ぐらい座って休むことありますが、次々客がやってきている時は迷惑になるので、できるだけ早めに服を着て脱衣所から出るように心がけています。その日の状況次第で判断。 ちなみに、女湯は男湯より若干狭い。半分ぐらいの大きさしか湯船無いと思います。ただし、女湯側にはシャワーが１台設置されています。女性は体や髪の毛を洗う時、シャワーがないと結構たいへんだと思いますが、シャワーはあるので連泊しても大丈夫だと思いますよ。 ［女湯　シャワー有］ 十分にお湯を楽しみ帰る時になると、ここはほんとに泊まりで利用してみたいと毎度思います。なかなか仕事の関係上３泊以上とるのが難しく予約できないのですが、いつかはゆっくり泊まりで利用してみたいなと思っています。 泊まってみたいなと思うのは、お湯が良いだけではありません。勿論、この建物の雰囲気も大好きです。でも、それ以上に泊まってみたいと感じさせるのはこの宿の皆さんが良い人ばかりであること。女将さんやご主人はじめ、泊まりに来ているお爺ちゃんとかいい感じなんです。そんな雰囲気の中に一度飛び込んでみたいと思うのでありました。湯上がりに廊下にタオルを干しながら、お部屋でお昼寝するのに憧れます。 主婦湿疹　◎ close

鳴子温泉　西多賀旅館（宮城）　再訪６