こんにちは、橋本です。久しぶりのブログ投稿となりました。今回は、ゴールデンウィーク中に訪れた温泉を紹介したいと思います。♨　♨　♨　青堀駅は昭和の面影の残る青い瓦が葺かれた小さな駅だった。降りる頃にはだいぶ日が傾いていて、日中の暑さはすっかりなくなっていた。　駅からしばらく歩く…… more と、静養園にたどり着く。これまた昭和の香りが漂うホテルの目を引くのは、建物の前にある自噴井を取り巻く小山である。背後の建物と同じくらいの高さに石が積まれ、柵がしてある。建物の方に回り込むと、琥珀色の源泉がこんこんと湧き出ている。東京の温泉の多くが動力揚湯であるだけに、この光景はとても珍しいものに思われる。　それにしても人の気配が全くない。建物の明かりもついていない。インターネットで調べた限りでは、今年の３月に客室にWi-fiを通したところだったから、これからますますの発展を……と思っていた矢先の休業である。ゴールデンウィーク中に臨時休業するはずはない。何かあったのだろうと思い、残念に思いながら小山を後にした。　青堀温泉にはもう一軒旅館があって、喜楽館という。こちらもまた昭和の香りが漂う素晴らしい外観をしている。貴重品を封筒に入れて受付に預けるのも懐かしい。繁忙期は日帰り客を受け付けていなかったのだが、ご厚意で特別に入れて頂いた。　「うちはお風呂が小さいので、混んでいるとゆっくりできないと申し訳ないので」と一度は断られた風呂は、十分大きかった。　湯船には沸かした黒湯が注がれていて、昆布のようなとろみがある。石鹸の泡立ちを助ける湯だ。関東平野の湯の例外に漏れず冷鉱泉なのだが、沸かし湯を入れるだけではなく冷たい源泉も熱めに沸かした湯の湯口の隣から同時に注いでいる。湯船の中に湯口が開けられ、水面には温められて出てきた新鮮な気泡が立っている。全体的にぬるめの湯だが、特に冷たい源泉を背中に当てながら入ると気持ちよく長湯ができた。※お風呂の写真は許可をいただいて撮影しています。　肌が包み込まれるようなまろやかな湯に浸かると体がよく温まって、５月の割には冷える夜の青堀を歩く準備ができた。　「いい湯でした、」と受付で財布を受け取りながら話しかけると、受付の方と女将と、三人で温泉談義が始まった。冷たい麦茶のお接待もありがたい。　「うちは明治の時代に祖父が上総掘りで掘り当てたんです。700mくらい掘っています。もう140年くらいやっています。」　「かなり歴史が長いですね。」　「そうなんです。昔のままやってるんですよ。」　「レトロで落ち着きます。ところで、冷たい源泉と沸かし湯を一緒に注いでいるのは珍しいですね。」　「うちは鉱泉ですから。昭和23年の温泉法ができるまでは、『青堀鉱泉』と呼んでいたんですよ。分析表とかができる前は、子宝の湯と呼ばれていました。今は効能だとか書いてますけれども、よく温まるんですよ。」　「今はわからないかもしれないけれども、冬になると不思議と温まるんですよ。一度はいると、夜布団に入るまでポカポカ、ポカポカとするんです。」　「ええ、今も体がポカポカとしています。」　「それはよかったわ。」　「静養園さんは、やめちゃったんでしょうか。」　「４月頃にご主人がご病気になったみたいで。」　「そうですか、残念ですね。インターネットを見てきたのですが、まさか休業とは。あ、ここの温泉もすごく良かったです。」　「商売をやるにしてもね、一人でやるんじゃなくって、相手がいてお互いの様子を気にかけながらやっていた方が張り合いがあってよかったわ。」　「『こんにちは、今日はどうですか』って、相手の顔が見える方が寂しくなかったですね。」　「そうですよね、どうにかなるといいんですが。せっかくの源泉ももったいないですよね。」　二軒の温泉宿の間には、小さな商店街があって、時代の流れが止まったかのような懐かしい看板を出している。　東京から近い温泉は、日帰りが容易になって宿泊客が減りつつある。喜楽館のレトロで落ち着いた雰囲気が残されることを願うばかりだ。もっとも、ゴールデンウィークらしく宿泊客はいっぱいいたので、この名湯はずっと守られそうである。談、橋本＜青堀温泉喜楽館＞入浴料金：大人1,000円（貸タオル・歯ブラシつき）日帰り入浴：要問合せ繁忙期は要問合せ：Tel 0439-87-4126  close

【千葉県】青堀温泉に起こった大変化と、今も残るもの