仙台から鬼首温泉に向かうと、比較的手前側にある老舗旅館です。 古い温泉本では鬼首温泉諸湯の中心地、轟温泉として紹介されています。昭和２５年毎日新聞社発行の温泉案内を見ると、源泉は２つあり、古湯は元和年間、新湯は嘉永年間の発見と書かれています。歴史ありますね～。そして、当時は大山旅…… more 館と高橋館の２つの宿があったようです。さて、このとどろき旅館は当時のどちらなのか？ 到着すると、意外と素朴で小さな宿である事に少し驚きがありました。ネット予約も積極的に受付しているようなのでもっと大きな宿になっているものと勝手に思い込んでいたので。だから今まで訪れていなかったのです。いやまあ、思い込みってダメですね。 ［素朴で小さな宿］ 日帰り入浴 料金：５００円　　湯巡りシール２枚 時間：１０時～１４時（利用は１時間程度） 平成２９年３月　訪問 宿の前に車を停め館内に入ります。入った途端、この作りは古いな～と思いました。湯治宿の雰囲気があります。正確にはわかりませんが、昭和４０年代よりさらに前だと思います。 さて、受付の所に誰もいないのでどうしようかと思ったのですが、すみませ～ん！と声をかけると作業中の宿の皆様がどこからともなく駆けつけてくれました。この対応、なかなかステキだなと。忙しいだろうに、お客の声が聞こえたらすぐに対応するという姿勢がとても好印象。一番最初に来てくれましたお爺ちゃんにシールを渡して入浴です。 ［廊下は狭め］ お風呂の場所は大雑把に案内していただきました。細い廊下を進み、一度曲がるとあっというまにお風呂のあるエリアに到着。右側に内湯、正面が混浴露天、左側に貸切露天というレイアウトみたいです。 ［各お風呂への入口］ どこから入ろうかと思ったのですが、誰もいなかったのでまずは混浴露天に行きました。 脱衣所、屋外の脱衣所になります。男女分かれております。 棚に籠が数個用意されているだけの簡素な脱衣所。同時に３程度着替えできるでしょうか。 なぜか灰皿が用意されています。分煙が主流の時代になりましたので、脱衣所の灰皿はそろそろ撤去したほうが良いと思います。 ［混浴露天の脱衣所　屋外なのでこの季節肌寒いぐらい］ お風呂に行ってみると、すてきな庭園露天風呂。季節的に中途半端なので、木々の緑も少ないし、雪があるわけでもないしで、正直、本来の美を楽しむことできませんでしたが、それでも十分感じることが出来ました。静かに注がれた湯。お湯が波立っておらず静寂の中でお湯を楽しめる素敵な空間に一目惚れ状態です。 ［混浴露天　庭園風呂の雰囲気］ こういう場所では静かに掛け湯。極力、お湯を揺らさないようにすくいます。熱めの湯を想像していたのですが、そんなことは全く無く、比較的ぬるめになっていました。だいたい４１℃ぐらい。 岩風呂になっているので、足元を確認しながらゆっくりと入浴。お湯に包まれる悦び。首まで浸かると、何も考えずただただ幸せだなとそれだけを感じていました。 お湯は透明。癖の少ない湯です。誰でも入りやすい泉質でしょう。舐めると少し石膏成分的な甘みを感じます。しっとりとした湯は女性向けかな。 混浴露天ではありますが、湯船の３分の１ぐらいは大きめの岩があり、ある程度目隠しにはなっています。混浴だけど、結構うまく出来ているなと思いました。なので、あえて湯船の反対側に陣取るか、覗きに行かないと混浴でも女性側がすぐに見えるという状態ではありません。 マネージャーの見解では、この岩がもう少し大きめになっているともっと入りやすいというご意見でした。 ［混浴露天　別角度より　岩の向こう側に女性側入口がある］ 一応、洗い場が設置されています。使われている形跡はあまり無いですね。シャンプーとボディーソープが置いてありました。使う気がなかったので、お湯が出るかとか確かめてきませんでした。 ［混浴露天　洗い場　シャンプーはポーラ製］ マネージャーと２人、たまたまなのでしょうけど他に誰も来ません。なかなか混浴風呂は入りにくくてそういう宿には行ってないのですが、このようにタイミング良くお湯やお風呂の雰囲気を楽しめると、この日一日、この後も良いことが続きそうな気がしてきて嬉しくなります。 湯口は滝のような形状。これもまた、木々が緑になるとさらに映えるのでしょうね。 ［混浴露天　湯口］ 女性入口側からだとこのよな雰囲気らしいです。マネージャーが写真撮ってきてくれました。男湯側と比べると結構狭いです。 ［混浴露天　女性入口側より　水着・タオル巻禁止貼り紙有］ ちなみに、男湯側の脱衣所からは源泉のタンクでしょうか、なんか不思議なものを見ることが出来ました。 ［源泉のタンクかな？］ この宿での日帰り入浴は１時間前後を目安に上がらなくてはなりません。内湯と貸切風呂もあるので、名残惜しいのですが、１５分ぐらい利用した所で上がることにしました。ほんと、タイミング良かったのか上がるときまで次の入浴客が来ない状態。 次は貸切露天を利用しました。こちらもたまたま空いていたので。それだけの理由です。貸切露天入口の前に洗面台が用意されています。この洗面台、お湯はたぶん温泉だと思う。かなり熱い湯が出てきて驚きました。そして、管の中が温泉成分でだいぶ細くなっていると思われるのもありました。 ［貸切露天入口　入口扉手前には洗面台］ 入浴中の札が用意されているので、それを入口の所に掛け、内側から鍵をかけて利用いたします。 脱衣所は狭い！板貼りの脱衣所は脱衣籠が２つ用意されているだけでした。こちらの脱衣所も屋外の脱衣所です。真冬はちょいと厳しいかも。 ［貸切露天　脱衣所］ お風呂は３～４人がゆったり入れそうな大きさ。ゆっくりと入ると、意外と深めに設計されていてなかなか気に入りました。温度は少し高め。４３℃程度あると思います。ちょい熱というなかなか良い温度設定。お湯は混浴露天とほぼ同じと感じました。 ［貸切露天］ こちらにも洗い場は設置されています。ここでも使用しなかったので状況分からず。 ［貸切露天　洗い場］ 混浴露天の時にも気づいていたのですが、ここの露天風呂は排水が石と石の間の細い溝をつたって流れていくように設計されています。これはこれでなかなか良いなと思いました。浴室床面全体に広がりすぎず、石が乾いていましたから。 ［排水の作り　あふれた湯がうまく溝を流れていく］ この貸切露天風呂、マネージャーもなかなか気に入ったようです。湯口も風情ある形になっています。木々には鳥も時折姿を見せてくれます。鳥好きのうちらにはとても幸せな空間でした。こちらも２０分程度の利用であがることに。 ［貸切露天　湯口］ 同じ宿内で２箇所のお風呂を利用すると、それだけでも十分はしごしている気分です。でも、残り男女別の内湯もせっかくだから入って帰ることにしました。 脱衣所に入ってみて、旅館のお風呂？と思うほど狭い！同時に着替え出来るのは２人程度でしょう。 ［内湯　脱衣所］ 脱衣棚の反対側にベンチと電気ストーブ、灰皿が用意されています。やっぱり灰皿置いてあります。ちなみにこのベンチ、かなりミシミシします。大柄の人が座ったら、壊れてしまうのではないかと思う状態。楽天のアマダーが座ったら、一発で壊れそうな感じがしました。 ［内湯　脱衣所反対　灰皿は要らない］ 浴室に行ってみると、これは湯治宿のお風呂かと思うような作りです。脱衣所よりもさらに低くなった位置にお風呂が作られております。小さなタイル貼り湯船がさらに湯治宿の浴室という雰囲気になっていました。 こちらのお湯も透明です。３箇所目にして、一番熱くもなくぬるくもなくという温度設定。４２℃程度です。ここも深めの湯船になっています。 ［内湯　湯治宿の雰囲気］ 湯船の縁はすっかり温泉成分が付着していて、部分的にはザラザラ感があります。タイルの剥がれてしまっている所もあるし。浴室のレイアウトの関係だと思いますが、シャワーとは離れた場所に洗面器がまとめて置いてありました。 ［温泉成分がびっしり付いた湯船の縁］ シャワーは２台。正直、どちらも使い物になりません。修理必要な状態です。ネタかと思ったのですが、シャワーヘッドがすっぽ抜けました。 ［シャワー　修理必要状態だった］ 古めかしい湯治宿のような浴室ですが、これはこれで風情があって良いと思います。古き良き時代の名残をここで感じることが出来るでしょう。なんかこう、忙しい世の中にありながらここだけ時間の流れが全く違うのではないかと錯覚してくるのです。そして、何かに焦っている自分がいることが馬鹿らしくなってくるのでした。なにも急がなくても生きていける気がします。この空間にいると、日常感じているストレスとかプレッシャーとか、そういうもので潰れそうになっている自分がなんだったのだろうと思えてくるのです。今までより少しゆるやかに生きてみようかなという気になってきました。 ［内湯　脱衣所との出入り口］ 内湯、女湯側もほぼ同じ作りだったようです。ちょっと古さがすごいので、女性は苦手という人もいるかもしれません。マネージャーの話だと、シャワーは普通に使えたとか。 ［内湯　女湯］ ［内湯　女湯シャワー］ この宿の日帰り入浴、結構人気あると思います。というのは、たまたま混浴露天も貸切露天もすんなり入ることができましたが、貸切露天から上がる頃には待っている人がいたぐらいです。若いカップルでした。その後も、男性の一人客だったり、ご夫婦かと思われるような人たちなど、次々とやってくるのですが、貸切露天が空いていないので、その間、内湯に入るか混浴露天に入るかという状態みたいです。もし、少しでものんびりと日帰り入浴を楽しみたい人は、土日ではなく平日に訪れてみることをお薦め致します。 そういえば、露天風呂の入口の所に飲食禁止の掲示があります。でも、それより気になったのが、同じ場所に渡辺美奈代の写真があったこと。懐かしい！ ［飲食禁止の掲示　それより気になるものがちらほらある］ 帰る時も宿の人が丁寧にご挨拶してくれました。建物やお風呂はたしかに古いですが、宿のスタッフの対応でなんかとても気分良く利用できたのが良かったです。歴史ある宿、続いているには何かしらの魅力があるから続けていられるのだと思います。そういうものを持っている宿なのだな～と感じました。 主婦湿疹　△ 昼食は鬼首にある金ちゃん食堂。マネージャータンメン７００円、ごまちゃんカツカレー８００円。あっさり系のタンメンなので胃腸にやさしいです。カツカレーは家庭的な味のカレーと少し小振りのカツの組み合わせ。下町食堂って感じでこれはこれで良かったかな。この金ちゃん食堂は何が一番メインなのでしょう？他の客の注文しているのが聞こえてくるのですが、結構みなさんバラバラのものを注文しますね。次行った時は、また違うものを注文してみたいと思います。 close

鬼首温泉　とどろき旅館（宮城）