温泉ファンから愛された温泉施設や野湯の中には、 諸般の事情により既に閉鎖されてしまった所もとても多いです。 新しい温泉ファンはこれらの施設に入り損ねた人も多いと思います。 当然ながら我家も「まぁーそのうち行けばいいかぁ」 なんて思っているうちに入り損ねた所は数知れず。 「温泉…… more は逃げない」なんて言葉も聞きますが、温泉は逃げます。確実に。 閉鎖に至る事情も様々ですが、多いのが新規施設との関係で閉鎖、 もしくは老朽化と管理の問題で閉鎖というパターンですかね。 野湯として愛されてきた場所が当局の指導により・・というパターンもあったり、 区画整理でやむを得ず、中には旧川原湯温泉のように温泉街そのものが移転し、 浴舎が閉鎖してしまった所もありますが。 ここからは、以前はしご湯ブログでとりあげた富倉の話です。 2014年に長野県飯山市へ湯巡りに行った際、蕎麦で有名な富倉へも寄り、 当然のように名物の蕎麦をいただきました。 その後、「富倉といえば、確か外来入浴も可能な湯小屋があったよな～」と、 かなり曖昧な記憶を頼りに地元の人に聞いてみると なんと残念な事に数年前に閉鎖してしまったそうで。 ・・・と、ここまではよくあるハナシですが・・ その理由が、かなり考えさせられるものでした。 なんでも、地域の人ではない外来者が夜中にやってきて、 施錠されていなかった湯小屋へ勝手に入り、入浴後に浴槽の湯を抜いてしまった為、 ガスにより配管などが全て溶け落ちてしまったとのこと。 湯小屋のシステムがどのようなモノだったか詳しくわからないけれど ガスによる空焚きのようになってしまった・・という具合なのかな。 夜中に施錠されていない湯小屋へ入った事は論外として、 実は共同浴場でお湯の栓を抜いてしまう人の話は時々聞きます。 本人にしてみりゃ「掃除しやすいように」なんていう親切心だったのかもしれないけれど。 富倉の共同浴場は助成金を利用して、綺麗にタイルを貼り、男女別の浴室を造り 一日の仕事を終えた地域のご老人が、夕方に訪れて 近所の人と湯に浸かりながらたわいもない会話を楽しむ、 そんな日々の憩いの温泉だったそうです。 そんな「憩いの場」が、よもやインターネット等で詳しく紹介され 身勝手な外来者を呼び込み、破壊される日が来ようとは、誰も想像できなかったと思う。 栓を抜いた本人も、まさか「それだけの事」で「これだけの事」になってしまったとは 今も知らずに過ごしているのかもしれません。日本全国に点在する湯小屋の中でも、 マイナーな部類に入ると思われる富倉を目指した辺りから察すると、 ある程度の温泉好きだったのかな。 ネット情報は便利で、自分も湯めぐりの際は大いに活用しているし、 自ら温泉サイトを公開している身としても、かなり考えさせられる件でした。 湯小屋を奪われたご老人は「唯一の楽しみを奪われて、ほんとうに悲しいよ！」と、 仰っていました。 湯小屋を修理する予算も無いそうです。 はしご湯のすすめ（ホーム） ランキングに参加してみました。 にほんブログ村 close

閉鎖になった温泉の話