『和山温泉 仁成館』は2006年より廃業されています。 日帰り入浴ご希望の方は事前に電話等で問い合わせてみてください。 2018年のお話です。 はい、それでは今日もまた2018年10月11日～12日2泊2日？「長野・渋温泉」シリーズの続き…… more を進めていきます。 さて、秋山郷温泉巡りの3湯目は『和山温泉 仁成館』なんですが。 冒頭にも記した通り、仁成館は2006年の時点ですでに旅館業は廃業されていたんです。 ただ、日帰り入浴だけは受け付けてもらえるとの情報も目にしまして。 仁成館の温泉にどうしても入ってみたかった僕は、この長野旅行の計画を立てる際にダメ元で電話してみたんです、するとお母さんが出てこられて。 ・現在はお風呂だけやっている。・それも常連さんのためだけにやっている。・常連さんはもはや家族みたいなもの。・露天風呂は（2018年）8月から掃除していない。それでもいいのか？・身体の調子が悪くて起きられない日がある。・その日にならないと体調がわからないので、当日電話してほしい。 以上のようなことをおっしゃられました。 そこで僕が「何時なら起きてはりますか？」とお尋ねしたところ、「あなた大阪？『起きてはる』なんて久しぶりに聞いた。わたしも大阪なのよ」ということで、少しばかり盛り上がりまして。 「大阪からわざわざ来てくれるのね。じゃあその日に電話してください」ということになったんです。 で、2018年10月12日の朝。 『歴史の宿金具屋』で朝食の後、午前8時過ぎだったでしょうか、電話してみると大丈夫とのことで。   はい、『和山温泉 仁成館』です。 とうとう来たぞ！ずっとずっと来たかった！ まさに秘境というのがぴったりの山々に囲まれたロケーション。 「温泉発見寛政元年（1789年）創業寛政6年（1794年）」という歴史ある宿です。 現在の令和天皇、かつての浩宮皇太子殿下が若かりし頃、苗場山に登山された折にご宿泊なされたという由緒ある宿でもあるんです。   わんこが来訪者を監視するかのように窓から見つめていました。 後からわかったことですが、この鼻先の白いわんこが「朝子さん」です（たぶん）。   玄関を入ると別のわんこがお出迎え。 お母さんも出てきてくれました。 「確かわんこは3匹いますよね？」そうお母さんにお尋ねしますと、「朝子さん」「バン（晩）」「チュウ（昼）」と朝昼晩3匹いたが、バンは亡くなってしまったとのこと。 で、上の写メのわんこが朝子さんとバンの子どものチュウ。 「甲斐犬なので気性が荒いのよ」ということでしたが、いえいえ、僕にはとっても人懐っこいわんこに思えました。 だいたいわんこというものはわんこ好きな人間がわかるのだ！（僕調べ） お母さんに入浴料500円を支払います。（要確認） 仁成館には混浴露天風呂と男女別の内湯があり、500円で露天風呂と内湯の両方に入ることができます。（要確認）   薪ストーブを横目に見て浴場へと向かいます。   旅館を廃業してもうずいぶん年月が経っていることを実感として想わせる廊下。   真っ直ぐ行くと露天風呂、矢印に従い左に行くと内湯。 まずは露天風呂へ。   露天風呂。 亡きご主人の手づくりだそうです。 混浴ですが、女性はバスタオル巻きがOKとのこと。 いやまあ、ゆうても現在では常連さん以外の入浴客はほぼいないと思われますが（苦笑）。 さらに言いますと、2018年8月から露天風呂の掃除をしていないということは、常連さんはこの露天風呂をあまり利用していないのかな、とも推測されます。   脱衣場は一応男女別にあるんですが……   脱衣場の中はこんな感じ。 んー、しばらく使われていないのかな？ いろんなものを踏んでケガをしてしまいそうでしたので僕は外で着替えることに（笑）。   源泉名：和山温泉泉質：ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉　　　 （弱アルカリ性低張性高温泉）泉温：48.5℃ その他、詳細は不明です。   露天風呂は岩風呂風で2槽式。 手前側の浴槽には屋根があり、雨の日でも濡れずに入浴できます。   別アングルで見るとこんな感じ。 手前側（左側）の浴槽に源泉が投入されています。 源泉温度から推測するに加水・加温・循環・消毒なしの100％源泉かけ流しということで間違いないでしょう。   湯口。投入量もそこそこあります。 銀色のコップが置いてありましたので……   飲んでみますと、あっさりとした塩味・ダシ味でなかなかおいしい温泉でした。   手前側の浴槽。お湯の色は無色透明。 2～3カ月掃除をしていない、ということでしたが、そこまで汚れているようには見えませんでしたよ。   源泉が投入されている手前側の浴槽内温度は43℃。 僕にとってはバッチリ適温です。   おおお！！！何と雄大な景色であることか！ 見事なまでの絶景です！ 正面に見える山が「鳥甲山」。 お天気が生憎の雨で、また、スマホでの撮影の限界もあって写メではよくわかりませんが、ほんとうは鳥甲山の猛々しさすら感じさせる岩場、むきだしの自然を眺めながら入浴できるんです。 これがもし晴天の日であったなら。燃えるような紅葉の季節であったなら。極寒期の雪見風呂であったなら。 とめどなく妄想をふくらませてくれる素晴らしい露天風呂です。   手前側の浴槽から奥側の浴槽へとお湯が流れ込んでいます。   奥側の浴槽。 若干、枯葉などが沈んでいますが、なあに、野湯などに比べたらぜんぜんきれいなものです。   奥側の浴槽内温度は38℃くらい。 かなりぬるめのお湯です。   このぬるめのお湯にゆっくりと長時間つかって悠々と景色を眺めているとどれほど気持ちがいいことでしょう。 ただ、奥側の浴槽には屋根がありませんので、この時は容赦なく雨が降りかかるんですよ（苦笑）。 ほんとうに雨が恨めしい。 てか、景色眺めるのにカエルがジャマ！（爆） やたら視界に入ってくるし。まあ、かわいいけど（笑）。   この素敵な露天風呂にもう一度天気のいい日に来てみたい。 そう願わずにはいられませんでした。  さあ、内湯にも入るよー。   このフェンスの鍵を外して……   階段を上った右手に内湯があります。   内湯はちゃんと男女別にありますよ。   掲示は露天風呂と同じもの。   浴場へのドアのドアノブに札がぶらさがっていて、「空」となっていました。   札を裏返すと「入浴中」。 内湯は貸切利用できるんでしょうかね？ まあいずれにせよ、入浴する人はほとんど常連さんくらいしかいませんし、おそらく常連さんはよそ者が入っているところにわざわざ来ないでしょうけども。   脱衣場は意外と広く、清掃が行き届いているようで清潔感がありました。 やはり常連さんは露天風呂にはあまり入らず、この内湯を利用する方が多いのでしょうかね？ 窓際にタオルが3枚干してありましたが、常連さんのものなのかな？   浴室も思ったより広い！ 浴室の床はタイル貼り、腰壁は石貼りです。   印象的だったのがこの大きな窓。 ここの窓からも鳥甲山の雄大な岩場を眺めることができます。 あーあ、天気のいい日だったらなあ……。   シャワー＆カランが2基。アメニティ類も置いてありました。 洗い場の前にも窓があり、鮮やかな緑を眺めながら洗えるのは爽快ですよね！   浴槽は4人サイズくらいでしょうか。 縁は木製で底はタイル貼りです。   湯口。投入量はそこそこ。   オーバーフローもしっかりありました。   お湯の色は無色透明。 底のタイルに温泉成分でしょうか、茶色い沈着が見られます。   浴槽内温度は42℃。バッチリ適温ですね。   あー、もう！ 霧のようなものに覆われてロクに景色が見えません！   まあでも大きな窓が2面にありますから、内湯にもかかわらず開放感がありますよ。 近くの木々の緑がとっても清清しかった！   浴感は軽いツルスベ感のある、やわらかな印象のお湯でした。 湯上りは肌がしっとりとしたような気がしましたよ。 でさ。 帰る前にお母さんにあいさつに行くと、常連さんがお一人おられて。 思った通りよそ者が上がってくるのを待っておられたんですね（苦笑）。    帰り際に、お母さんが「もう使わないから」と、浴衣をくださいました。 以前、旅館を営業されていた時のものなのでしょうね。 「何もお構いできなくて……」とおっしゃっていましたが、いえいえ、こちらが無理に入浴をお願いした上に、とてもよい記念になるお土産までいただいてしまってかえって恐縮してしまいました。 お母さんは「座布団も持って帰って」とおっしゃってくださいましたが、ウチでは座布団を使う習慣がないので丁重にご遠慮させていただきました。   チュウが見送りに来てくれました。 僕の足をなめ……   僕のビーサンをなめました（笑）。   あ、朝子さんが走ってきた！ 朝子さんは写メ左側の草のところでうんこをしていたのですが（笑）、うんこ終わりに走ってきたのです。   お母さん、朝子さん、チュウに見送られ、僕は仁成館を後にしました。 一生忘れることのない素敵な思い出を、ありがとう。 お母さん、お元気ですか？体調はいかがでしょう？ 朝子さんとチュウも元気かな？ 『和山温泉 仁成館』に後継者はおられるのでしょうか？ もしこの歴史・由緒ある旅館とかけがえのない温泉・露天風呂がそう遠くない将来、失われてしまうのだとしたら、僕はどうにもやりきれない気持ちでいっぱいになります。 願わくばお母さんがお元気なうちにもう一度訪れることができますように。 close

秋山郷温泉巡り③　和山温泉 仁成館〈鳥甲山を眺む絶景混浴露天風呂〉@長野県下水内郡栄村堺